すごい嬉しい、ありがとう……
バイト帰りで、ついでに外で夜ご飯を食べた。
イタリアン料理屋さんの店内に店長さんと自分ともう一人の女お客さんしかいなかった。
女の人はすごく美人で、店長と話しながら食事をしてた。もしかしたら夜の仕事してるのって、思わずに自分はそう思った。
会計のとき、店長と挨拶した。不意に声をかけられた。
声はかわいいですね。本当にかわいいです。声優の仕事していますか。
美人さんがそうおしゃってくれた。
びっくりした。どんな反応をすればいいのか全くわからない。よく声が声優さんに似てると言われたことがあるけど、こんな直球なの今回は初めてだ。正直に、嬉しい……
いいえ、そうでもないです。
小さなお礼をし、笑いながら女の人に告げて、店から出てきた。
いい出会いだなーって、自分はそう思う。
そして、昔のことを思い出した。
気持ち悪い。あんな格好でそんな声を持ってるなんて、まじで気持ち悪い。
同級生の女の子そうに言われた。
それは本当のことかもしれなかった。高校生の自分は太いんで、化粧さえせずにいた。服も運動服ばっかりで、よくそのままでいられるね。今考えてみたら、自分も苦笑する。
でも、もう大丈夫。今の自分は、昔の自分と全く別人のような気がする。美人じゃないけど、とにかく綺麗になってきた。そして、何より大事なのは、大好きなものを見つけた。それは、自分の声だ。気持ち悪いなんてもう二度と言わせたりはしない。そのために、自分はもっと綺麗にならなきゃ。もっとうまく外語を話さなくきゃ。これは私だけの宝物で、私しか持っていない大事なものだ。
声優さんが好き、いつしか私も声優学校に入るでしょう。そうしたら、絶対に精一杯で頑張ろうと思う。母さんと父さんのため、そして自分のためにも、もっと強くなりたい。
美人のお姉さん、お名前ですらわからない。これこそが一期一回ということかもしれない。本当に、嬉しいです。ありがとう……(^_^)